子どもに片付けの負担をかけないために――70代の今からできる3つの準備

「片付け費用」という言葉を耳にしても、自分にはまだ関係ないと思う方は多いでしょう。ですが実際には、70代を迎えた方の多くが、実家や持ち家の片付けに100万円以上の費用がかかることを知らずに過ごしています。

そしてその負担は、ほぼ確実に子ども世代に回ってくるのです。

この記事では、「子どもに迷惑をかけたくない」と考える70代の方に向けて、今からできる3つの準備を紹介します。

片付け準備は「親から子への最後のプレゼント」

70代のうちに片付けの準備を始めておけば、子どもに負担をかけずに済みます。片付けにはお金も労力もかかりますが、早めに対策をしておけば、その負担を大きく減らすことができるのです。

なぜ片付け準備が必要なのか

実家の片付けは高額になる

遺品整理や空き家整理は、想像以上に高額です。業者に依頼すると数十万〜100万円以上かかることは珍しくありません。しかも多くの場合、親が急に施設に入居したり亡くなったりした後に発生するため、子ども世代が急いで対応することになります。

「モノが多い世代」ほど費用が膨らむ

70代以上の世代は、家具や家電、趣味の道具を長年残している傾向があります。処分費用は「モノの量」に比例するため、何も整理しないまま残すと片付け費用はさらに高額になってしまいます。

実際にあった片付けのケース

ケース1:3DKの実家で120万円

東京都下にある3DKの実家。70代のお母さんが倒れ施設に入居し、家は空き家になりました。子どもが業者に依頼した結果、見積もりは120万円。

  • 家具・家電の処分費:40万円
  • 衣類や日用品の仕分け:30万円
  • 不用品回収や人件費:40万円
  • 畳の撤去や清掃:10万円

「えっ、こんなにかかるの!?」と驚いたものの、これが現実です。

ケース2:生前整理で数十万円削減

70代のお父さんは、思い出のゴルフバッグを10本以上残していました。しかし「自分で決められるうちに整理しよう」とリサイクルショップへ持ち込み。結果、処分費用が浮き、むしろ収入になりました。

ケース3:積立で子どもが安心

ある夫婦は「片付け費用専用の口座」を作り、毎月5,000円を積立。10年で60万円が貯まり、それを実家の整理に充てました。子どもはお金の心配をせず、落ち着いて対応できました。

ケース4:業者リストがトラブル回避に

ある家庭では、母親が信頼できる業者の連絡先を残していました。自治体が紹介する業者や資格を持つ会社の情報があり、子どもはスムーズに依頼。適正価格で片付けられ、余計なトラブルを避けられたのです。

今からできる3つの準備

1. モノを減らす「生前整理」

  • 毎月1袋だけ捨てる
  • 孫に譲れるものは早めに渡す
  • 写真はデータ化してコンパクトに残す

少しずつでも整理をしていくことで、将来の片付け費用は数十万円単位で変わります。

2. お金を残す「片付け費用の積立」

片付け専用の口座を用意しておくと、子どもは安心できます。小額からでもよく、10年単位で積み立てれば数十万円の備えになります。

3. プロに相談する「業者リスト作り」

  • 自治体の紹介業者をチェック
  • 遺品整理士の資格を持つ業者を探す
  • 複数の見積もりを取って比較

信頼できる業者の連絡先を残すだけで、子どもの負担は大きく減ります。

未来の安心は「今の一歩」から

片付けは大きな労力がかかる仕事ですが、70代から準備しておけば子どもに迷惑をかけずに済みます。

  • モノを減らす(生前整理)
  • 費用を準備する(積立)
  • 信頼できる業者を調べておく(相談リスト)

これらを実行することは、子どもにとって「最後の親からのプレゼント」になります。

もし「何から始めたらいいかわからない」と感じたら、まずはクローゼットを開けて古いバッグを1つ処分してみましょう。それが未来の安心につながる、最初の一歩になります。