
空き家を相続した人の多くが、最初の1年で「放置」「軽視」「誤解」の3つのミスをしてしまい、結果的に“余計な出費”や“トラブル”を招いてしまいます。特に相続直後は手続きも多く、「とりあえず一年放置でいいか…」と考えがちですが、実は一番危険な期間です。
最初の1年で正しい判断をするかどうかで、5年後のコストやストレスが大きく変わると言っても過言ではありません。
なぜ最初の1年が重要かというと、空き家は“放置した瞬間から老朽化が加速し、資産価値が下がり続ける”からです。
相続した家は人が住んでいないため湿気がこもり、給排水設備が劣化し、庭木が伸び、雑草が増え、害獣が入りやすくなるなど、思っている以上に管理が必要です。
さらに、自治体は近年「空き家対策」に本気で取り組んでおり、適切に管理していない家は “特定空き家” に指定されるケースも増えています。
特定空き家になれば固定資産税の優遇が外れ、税額が最大6倍になるため、経済的ダメージも大きい。
つまり、「知らなかった」「そのつもりじゃなかった」という些細な油断が、後々大きな負担につながるのです。
ここから、実際に多くの人がやってしまう “最初の1年の3つのミス” を紹介します。
思い当たるところがあれば、すぐに対策することで悪化を防げます。
ミス①:とりあえず放置する(1年後に修繕費が跳ね上がる)
●「忙しいから」「急いで売らなくていいし」
相続直後は手続きが多く、仕事もあるため、つい後回しにしてしまう人が多いです。
しかし、空き家は放置した瞬間から劣化が進行します。
●よくある悪化例
- 換気しない → 湿気でカビ発生
- 水を流さない → 排水管が劣化し、サビ・詰まり
- 草木が伸びる → 害虫・害獣の住処に
- 郵便物が溜まる → 「空き家だ」と近所の目が厳しくなる
これらは1年程度の放置でも起こりえます。
●1年間放置した人の典型的な追加出費
- 軽微な修繕:3〜10万円
- 庭木の伐採:5〜20万円
- 害獣駆除:3〜30万円
- 排水設備の交換:10〜50万円
「売るつもりだったのに、修理をしないと売れない状態になってしまった…」という相談は本当に多いのです。
ミス②:名義変更や相続登記を後回しにする(最悪の場合、売れなくなる)
●法改正で“義務化”されたのに放置されがち
2024年の法改正で、相続登記は義務化され、放置すると罰金が科される可能性があります。
それでも「いつかやればいい」と後回しにする人が多く、これが深刻なトラブルの原因になります。
●登記を放置すると起こる問題
- 売りたくても売れない
- 火災保険の契約ができない
- 相続人が増え、遺産分割が複雑になる
- 他の相続人の承諾が取れず、手続きが進まない
- 最悪の場合、相続人の一部が亡くなり“相続人の相続人”が登場して地獄化
特に空き家は、相続登記が完了していないと活用も売却もできないため、一番最初に終わらせるべき手続きです。
ミス③:固定資産税が“安いまま”と思い込む(特定空き家リスクを軽視)
●「空き家は住んでいないから税金は安い」という誤解
実は逆で、適切に管理されていない空き家ほど税金リスクが高まります。
●特定空き家とは?
- 倒壊の恐れ
- 衛生上の問題
- 景観を損なう状態
- 周囲に悪影響がある状態
こうした状態の空き家は、“特定空き家”に認定される可能性があります。
●特定空き家に指定されると?
固定資産税の優遇措置(住宅用地特例)が外れ、
固定資産税が最大6倍
都市計画税が3倍
になる可能性があります。
たとえば、普通の家で年6万円払っていた人が、特定空き家指定で36万円に跳ね上がる…というケースも珍しくありません。
●指定される前にできる対策はシンプル
- 年2〜4回の見回り
- 雑草・庭木の手入れ
- 建物の点検(雨漏り・破損)
- 郵便物の整理
- 近隣への配慮
要するに、「人が住んでいなくても、最低限の管理をしている」ということが自治体へのアピールになります。
空き家を相続した最初の1年で大切なのは、
“とりあえず放置”をしないこと。
この1年が、あなたの将来のコスト、売却のしやすさ、近隣との関係、税金まで左右します。
改めて、今日からできる行動をまとめます。
▼最初の1年で必ずやるべき3つ
- 基本管理(換気・通水・草刈り)を定期的に行う
- 相続登記を必ず済ませる
- 劣化や近隣トラブルの兆候を見逃さない
空き家は、正しく扱えば資産として活用できる一方、放置すると“負債”に変わります。
最初の1年で判断を誤らなければ、その後の管理はずっと楽になります。
少しでも心当たりがあれば、今日から変えていけば間に合います。
空き家と上手に付き合い、あなたの負担を最小限に抑えていきましょう。