
実家を“年3回ペース”で見に行くのは、実は最もコスパが悪い
「年に3回くらいは実家に帰ってるから大丈夫」
そう思っている人は要注意。
実は、“その頻度”こそがもっとも損を生む落とし穴です。
空き家や実家の管理は「行く回数」ではなく、「見ている内容とタイミング」がすべて。
3回という中途半端な頻度では、トラブルの早期発見も防止もできず、結果的に修繕費・税金・時間の全てで損をするのです。
3回では「問題が起きたあとに気づく」から
例えば、実家の管理を春・夏・年末に行くパターン。
多くの方がこのスケジュールで帰省しますが──
その“合間の季節”こそ、最も家がダメージを受けやすいタイミングなのです。
- 梅雨~台風シーズン(6〜10月):雨漏り、カビ、シロアリ発生のピーク
- 冬季(1〜3月):凍結による水道管破裂、給湯器の劣化
- 秋(9〜11月):雑草・害虫・野良猫・不審者の侵入増加期
年3回の点検だと、「問題が起きたあと」しか気づけない構造になってしまいます。
つまり、たとえ1回の帰省で1日中掃除しても、“時間差で起きたトラブル”の修繕費で全部吹き飛ぶ。
「年3回行ってるから安心」ではなく、
「年3回しか見に行けない=年間の3分の2はノーガード戦法」なんです。
想定ケース「東京在住・50代男性・母が一人暮らしだった実家を放置」
想定ケースとして、こんな状況を考えてみましょう。
■登場人物:
- 東京都在住のAさん(52歳・会社員)
- 実家:岡山市郊外。母が亡くなってから空き家に。
- 管理頻度:お盆、年末、GWの年3回
■経緯:
母の死後、「実家は売らずに残しておこう」と決めたAさん。
思い出もあり、「年に数回行って掃除してるから大丈夫だろう」と考えていた。
ところが、4年後──
Aさんが帰省した際、玄関を開けた瞬間、異臭と湿気のこもった空気。
さらに床板が一部ふかふかしている。業者に見てもらうと、こう言われた。
「雨漏りが長期間放置されてましたね。柱の一部まで腐ってます。」
修繕費の見積もり:約180万円。
■原因分析:
・梅雨明け後の7月〜9月に発生した雨漏りを、次の帰省(お盆明け)まで見逃した
・庭の雑草を放置 → 近隣から「蚊が多い」と苦情
・外壁のヒビに気づかず → 小動物が侵入、天井裏に巣
■結果:
- 修繕費 180万円
- 庭木の伐採費 15万円
- ご近所へのお詫び 3件
合計200万円以上の損失。
Aさんはこう漏らした。
「年3回も行ってるのに、なんでこんなことに…?」
実はこれ、全国で“よくある”話。
行く回数より、見落とすタイミングの方が圧倒的にリスクなんです。
「遠方だから」こそ、損が“加速”する3つの要因
遠方に実家がある人ほど、損失リスクは倍増します。理由は3つ。
① 交通費+時間コストの二重出費
片道3〜4時間の距離なら、1回の帰省で往復3万円+休暇1日が消える。
年3回で9万円。
「行ってるだけでコストがかかる構造」です。
それなのに、効果的にチェックできなければ、まさに**“コスパ最悪”**。
② ご近所との関係が希薄化
昔は隣のおばさんが「雨漏りしてたよ〜」と教えてくれた。
しかし今は高齢化や世代交代で、近所との交流も減少。
結果、異変に気づいても誰も知らせてくれない。
3回の訪問では、近所との関係維持すら難しい。
③ 管理業者を頼むタイミングを逃す
「次行ったとき頼もう」と思って放置 → 1年経過。
実際、依頼の遅れ=劣化の進行。
プロに早く頼んでいれば10万円で済んだ修繕が、半年遅れると30万円コースになるのは日常茶飯事です。
行く回数を減らしても“見張る仕組み”を増やす
年3回しか行けないなら、発想を変えるべきです。
「自分が行く」のではなく、「代わりに見てもらう仕組み」を作る。
① 「月1の簡易見回りサービス」を利用する
プロの管理業者が、郵便受け・水回り・通気・庭・外壁などを月1回チェック。
報告書と写真を送ってくれる。
費用は月5,000〜8,000円ほど。
1回の帰省交通費より安く、トラブルを未然に防げます。
② スマート監視カメラを設置
屋内・玄関・庭などにWi-Fiカメラを設置。
スマホでリアルタイムに確認できる。
「風で門が倒れてないか」「郵便が溜まってないか」などもチェック可能。
特に最近は、ソーラー充電型+SIM対応のカメラも登場。
電気もネットも不要のため、田舎の空き家でも運用可能です。
③ 定期的に「近所の方」にお願いする
お金を払う必要はありません。
「何かあったら教えてもらえる関係」を作るだけで大違い。
たとえば「お盆に帰るときに必ず手土産を渡す」など。
人間関係を“管理の一部”と考えることが、遠方管理のコツです。
まとめ:年3回より“管理の仕組み化”が未来の安心を生む
年3回の帰省は「努力」ではありますが、
残念ながら“管理”とは言えません。
本当に守るべきは、「行く回数」ではなく「放置しない仕組み」。
見回りサービス・近所の協力・スマート監視──
これらを組み合わせれば、
あなたの実家は“年3回でも守れる家”になります。
放置された実家は、
ある日突然「負の資産」に変わります。
けれど、“管理の工夫”をすれば、
実家は「心の拠り所+将来の財産」に戻せる。
大切なのは「年3回行くこと」ではなく、
年12ヶ月、実家を“見守る体制”を作ることです。
✅ この記事のまとめ
