「固定資産税が6倍!? “特定空き家”に指定される前に絶対すべきこと」

放置された空き家は「特定空き家」に指定されると、固定資産税が最大6倍に跳ね上がります。
その前にやるべきことは、「空き家の現状を正しく把握し、早めに整理・管理計画を立てること」です。
「うちは大丈夫」と思っている人ほど危険です。


なぜなら、“特定空き家”は倒壊の危険や衛生上の問題だけでなく、「管理していない」という印象だけで指定されるケースがあるからです。
「実家を放置=課税リスクを背負う」時代が、もう始まっているのです。

では、なぜ「特定空き家」に指定されると固定資産税が6倍になるのでしょうか?
そのカラクリを簡単に説明します。


通常、住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」という優遇措置が適用されています。
これは、住宅が建っている土地に対して、固定資産税が最大1/6に減額されるという制度です。
しかし——
もし自治体から「特定空き家」に指定されると、この優遇が取り消されてしまい税金が一気に6倍に跳ね上がってしまいます。


たとえば…
固定資産税が年5万円だった土地が、特定空き家に指定されると30万円に!
同じ土地なのに、税負担はまるでローンのように重くのしかかります。
しかも、特定空き家に認定される基準は曖昧なのです。
法律上は「保安上危険」「衛生上有害」「景観を損なう」「周辺の生活環境を阻害」とされていますが、
自治体の判断ひとつで指定されることも多く、「知らないうちに危険リストに入っていた」なんてことも。

ここで、ある想定ケースを紹介します。

【想定ケース:横浜市在住・49歳・男性/実家が地方にあるケース】

都内で共働き、子どもは高校生。
実家は栃木県の郊外にあり、父が亡くなってから3年ほど空き家状態。


「まあ、まだ屋根もあるし大丈夫だろ」と思っていた矢先、市役所から一通の通知が届きました。
——『あなたの所有する物件について、現地確認を行いました』


現場を見に行くと、草は腰の高さまで伸び、雨どいは外れ、近隣住民からは「虫がすごくて困る」と苦情が。
その1か月後、「特定空き家に指定予定」という赤い文字が入った封筒が。


慌てて現地の業者に相談したところ、
・屋根の補修 約50万円
・庭木伐採と除草 約15万円
・残置物処理(家の中) 約30万円
合計で95万円の見積もり。


もし放置して特定空き家に指定されれば、翌年から税金だけで30万円/年。
つまり、3年放置すれば90万円。
「修繕しておけばよかった…」と後悔するしてしまうでしょう。

放置リスクは税金だけじゃない

実は、特定空き家の恐ろしさは“税金”だけではありません。
・強制撤去の可能性:自治体が代執行し、その費用が所有者に請求される(数百万円規模)

・近隣トラブル:倒木や瓦の落下、雑草、害虫、景観問題などでクレームが増加

・相続トラブル:複数の相続人で所有している場合、誰も管理責任を取らない

結果、「誰も住まないのに、毎年お金とストレスだけが増えていく」という地獄のスパイラルに。

逆に“特定空き家”を避けた人のケース

同じく想定事例ですが、
埼玉県在住の女性(51歳)は、母親の施設入所をきっかけに空き家整理を早めに開始。
業者に依頼して

・使える家具をリサイクル
・家財を分別整理
・不要物を処分
・定期的に換気・草刈りを実施


結果、空き家状態ではあるものの「管理が行き届いている」と認められ、なんとか特定空き家の指定を回避しました。
さらに、不動産会社に相談して「空き家バンク」に登録したことで、1年後に買い手が見つかりました。
ポイントは、“手を入れたこと”が証拠になるということです。


行政は「放置されている」と判断するか、「管理されている」と判断するかを見ています。
どちらになるかは、ほんの少しの行動の差で決まるのです。

「うちはまだ大丈夫」と思っている人ほど、今すぐ動く必要があります。
なぜなら、“特定空き家”は一度指定されると解除が難しく、固定資産税の地獄ループから抜け出せなくなるからです。
やるべきことはシンプルです。

✅ 今すぐできる「対策」

・現地確認をする

・写真でなく、自分の目で建物・庭・周辺環境をチェック

・草や木、屋根、外壁、郵便受けが放置状態だと要注意

・最低限のメンテナンスを行う

・草刈り・換気・簡易清掃でも「管理している」と判断されやすい

・地元の便利屋や空き家管理サービスを利用するのも◎

・専門家に相談する

放置しすぎて何から手をつけていいか分からない場合、「空き家整理・遺品整理業者」や「不動産の空き家対策専門家」に早めの相談をしましょう。

✅行政と“敵対しない”


市役所の担当者から連絡が来たとき、つい身構えてしまう人が多いですが、
行政は「敵」ではなく「警告をくれる味方」です。
誠実に対応し、「今後こういう管理をします」と伝えるだけで、「じゃあすぐ指定は見送ります」というケースもあります。

つまり、“特定空き家”を避ける一番の秘訣は、「放置しない」「見せる管理」ことです。

まとめ

空き家を放置する最大のリスクは「老朽化」でも「誰も住まないこと」でもなく、“行政に危険だと思われること”。
それを防ぐには、定期的に状態を確認し最低限のメンテナンスを続け、必要なら専門業者と連携して「管理している状態」を維持する。

たったこれだけで、固定資産税6倍という“特定空き家リスク”から逃れられます。

そして、空き家整理をきっかけに、
「相続」「売却」「活用」など次の一歩を考える人が増えています。
あなたの実家も、もしかしたら次の「特定空き家予備軍」かもしれません。
でも、まだ間に合います。
——“放置”をやめて、“管理”に変える。
それが、未来の自分と家族を守る、最初の一歩です。