
相続した実家を「とりあえず貸す」という判断は、税金面で取り返しのつかない損を生むことがあります。
なぜなら、その一手で使えるはずだった税の特例が消えることがあるからです。
相続した実家を売却する際、多くの人が使える可能性があるのが、いわゆる
「相続空き家の3,000万円特別控除」
ざっくり言うと、
- 一定の条件を満たした相続した実家を
- 売却したときに
- 譲渡所得から最大3,000万円を控除できる
という、かなり強力な特例です。
しかし、この特例には落とし穴のような条件があります。
その代表例が——
「貸したらアウト」
一度でも第三者に賃貸してしまうと、
「空き家」とは見なされなくなり、
特例の適用対象外になる可能性が一気に高まります。
つまり、
「売るまでの間、もったいないから貸そう」
この“善意の判断”が、数百万円〜数千万円の税負担につながることがあるのです。
ここで、ある団塊ジュニア世代のAさん(48歳・会社員)の想定ケースを紹介します。
Aさんは、地方にある築45年の実家を相続しました。
- 両親はすでに他界
- 自分は都内在住
- 実家は誰も住んでいない
固定資産税はかかるし、
草刈りも面倒。
正直、「早くどうにかしたい」。
そんなとき、不動産会社からこう言われます。
「今すぐ売らなくても、月6万円くらいで貸せますよ。需要、あります」
Aさんの頭の中では、こんな計算が始まります。
- 月6万円 × 12か月 = 72万円
- 売るまで2年貸せば = 144万円
「悪くないな…」
ほぼ心は決まりかけていました。
そのタイミングで、
たまたま相談した専門家から、
あの一言が飛んできます。
「それ、特例消えますよ」
Aさんは最初、意味がわかりませんでした。
詳しく聞くと、
- 相続空き家の特例は
- “誰も住んでいない状態で売る”ことが前提
- 賃貸に出した時点で
- 事業用・収益用とみなされる可能性がある
結果どうなるか。
仮に売却益が3,000万円出た場合——
- 特例あり:税金ほぼゼロ
- 特例なし:約600万円前後の税金
月6万円を2年貸して得た144万円より、
はるかに大きな損失です。
Aさんはその場で賃貸をやめ、
売却前提で動くことを決断しました。
後日、こう言っています。
「あの一言がなかったら、知らずに数百万円払ってました…」
まとめ
実家を貸すかどうかは、感情や目先の収入だけで決めてはいけません。
特に相続した実家は、
- 売る
- 貸す
- 放置する
この選択肢によって、税金・手取り・将来の負担が激変します。
そして怖いのは、
「知らなかった」では済まないこと。
「とりあえず貸す」
「空いてるのはもったいない」
その判断の前に、必ず一度立ち止まってください。
その選択、消えてしまう特例はありませんか?
実家の扱いは、人生で何度もない“重たい意思決定”です。
だからこそ、動く前に、知っておく。
これだけで、未来は大きく変わります。
※本記事は一般的な情報提供であり、特例の適用可否は個別事情で異なります。売却・賃貸の判断前に、税理士等の専門家へご確認ください。